釜山アジア大会 アフガニスタン・パレスチナ サッカー観戦記

Oct.5,2002, at Changwon, Korea−


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 先の釜山アジア大会において10月5日に行われたアフガニスタン・パレスチナ両国のサッカー試合を観戦する機会がありましたので、技術的なことは全くの素人ですが観戦記を下記します。

 釜山アジア大会のサッカーの日程をインターネットで調べてみると、10月5日の午後にアフガニスタンとパレスチナが立て続けに試合をする、との情報を得た。恐らくどちらの国のサッカー(に限らずスポーツ)も見る機会は今後そうないだろう、と思い、見に行くことにした。

 場所は釜山からバスで1時間程のところにある昌原(Changwon)。昌原のバスターミナルにはアジア大会の案内所があり、日本人のボランティアがいたので競技場への行き方を聞く。ボランティアの人に「昌原でいいんですか?今日の日本の試合は馬山(Masan)でやるのですが…」といわれつつ競技場への行き方を教わった。別のバスに乗り換え、「ウンドンジャン」という車内アナウンスが「運動場」に聞こえたのでそこでバスを降りた。

 競技場に入ると、バックスタンドに両国の応援団(実は地元市民)が陣取っている以外はガラガラであった。地元市民で各国の応援団を組織し、横断幕を張ったり韓国サッカーの応援をもじった声援で大会に一役買っているようだ。アフガニスタン応援団の近くに座ることにした。席に座ると後ろの人からパンと牛乳の入った袋を投げ渡され、「食え」とのジェスチャー。どうやらこの応援団は軽食付きのようだ。

 入場したとき、第1試合を戦うアフガニスタンとレバノンの選手がウォームアップをしていた。アフガニスタンの選手はウェアー・パンツとも赤。対するレバノンの選手は白を基調にしたユニフォームであった。

 午後4時過ぎ、両チームの選手達が、なぜか日韓ワールドカップのアンセムに乗って入場してきた。

 両国国歌吹奏。アフガニスタンの国歌はテープの音質が悪い。そもそも流れている「国歌」は正しい国歌なのか。大会関係者もどこまで流して良いのかわからなかったようで、3番まで演奏があった。

 午後4時33分、定刻通りキックオフ。やはり、というか残念ながらアフガニスタンの旗色が悪く、次々と点を失っていく。アフガニスタンは攻撃の機会がほとんどなく、ポールを取ってもパスの出しどころがない、という感じで、ほとんどの時間レバノンにボールを支配された。アフガニスタン応援団は点を取られても攻められても同じトーンで変わらず応援を続ける。あまりメリハリがないが、それでも数少ない攻撃の機会には、やはり歓声が上がる。前半だけで5点を失い、前半終了。

 後半もやはり似たような流れで、アフガニスタンは攻撃の糸口をつかめない。6点を失い、試合終了。11-0でレバノンの勝ち。シュート数もレバノン42本に対しアフガニスタンはわずか2本で、実力の差がこれだけあった、ということであろうか。救いはこの試合のイエローカードがアフガニスタンの1枚だけというクリーンな試合であった、ということである。

 入れ替わりに次の試合を戦うパレスチナとバーレーンの選手がウォームアップを始めた。パレスチナは緑のユニフォーム、対するバーレーンは白のユニフォームであった。練習が終わる頃、バーレーンの選手がスタンドに寄ってきて紙袋に入ったプレゼントを応援団に投げ入れていた。オイルマネーから来る余裕であろうか。両国は日本と同じ予選グループに属しているが、両チームとも既に日本との試合を終えておりパレスチナは日本に0-2、バーレーンは2-5でそれぞれ敗れている。日本戦のスコアを見る限りではパレスチナにもチャンスあり、と感じた。

 ところが、いざ試合が始まるとパレスチナは前半15分までに3点を失ってしまった。攻め手がないわけではないのだが、ボールを取られると一気に速攻で持ち込まれてゴール、もしくは速攻を止められずファウルからPK、という感じで失点を重ねていく。さらに前半に1点を失い、パレスチナの応援団(これも実は地元市民)も意気消沈、代わりにバーレーン応援団(これまた地元市民)の声援が大きくなった。

 後半に入るとパレスチナ選手の動きが悪くなり、プレー中に倒れこむ選手が多くなってきた。予選3戦目ということもあり、疲労がたまっているのであろうか。あるいはあまり練習ができていなかったのであろうか。パレスチナは後半10分過ぎに、バーレーンの速攻を止められず相手の足を引っ掛けてしまい一発レッドカードで退場者を出し、ますます苦しい展開になった。それでも後半は失点を1点にとどめたが、結局パレスチナは相手ゴールを割ることが出来ず、0-5で敗れた。

 結局、両国とも予選リーグ全敗、最下位で予選敗退となった。アフガニスタンもパレスチナも、サッカーに限っては「復興のさなかアジア大会に参加した」「戦乱の中をアジア大会に参加した」以上の結果を残すことができなかった。混乱が続く祖国からはるか東、韓国へ赴いての両チームの試合は、祖国の人たちに届いたのであろうか。4年後のアジア大会はカタールのドーハで行われるが、その時、あるいは2年後のアテネオリンピックやその予選ではどんな姿を両国は見せてくれるのだろうか、スポーツに打ち込める環境を整えて国際舞台に出てくることが出来るようになっているだろうか。

以上

釜山アジア大会 サッカー予選

アフガニスタンの試合結果  予選E組

9月28日 0-10 イラン  10月1日 0-11 カタール  10月5日 0-11 レバノン

パレスチナの試合結果    予選D組

9月28日 0-2 日本 10月1日 0-2 ウズベキスタン 10月5日 0-5 バーレーン


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